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「オーバーハング!」を連載開始にあたって

tytlepage_bご訪問下さった皆様、こちらでは初めまして。


今度、RouteM出身の漫画家としてGANMA!で
「オーバーハング!」という漫画を連載させて頂けることになりました
本橋ユウコと申します。以後どうぞ宜しくお願い申し上げます。

自己紹介も兼ねて初ブログ更新してみようかと思いますので、
お時間とご興味のある方はお付き合い下さいませ。

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私はかなり長い年月、心の中ではずっとプロの漫画家を目指してはいたのですが、
それでもネット経由でコミックスマートの
「RouteMシステム」のことを知ったのは本当に偶然です。

元々、自分にはずっと温めていた長編で描きたいテーマがあったのですが、
これまでに複数の編集部に企画の持ち込みをしても実現には至りませんでした。

キャラクターや演出など、面白いと言って貰える部分はあるし、
絵や表現のほうも(若干古いとは言われつつも)
かなり評価して頂けることが多かったのですが
どちらでも共通して言われていたと記憶しているのが
「大変残念ですが、これはうちの雑誌で扱うジャンルではありません」…という。

どうやら私が漫画で描きたいと思った、そのテーマそのものが、ネックになっていたようなのです。

自分の中で、どうしても「大人」と「子供」のあいだくらいの話を考えてしまう傾向があって、
そうすると今の漫画ではジャンル分けが難しいことになってしまうのですね。
特に今回GANMA!で初めて載せて貰えることになった
クライミング(或いは山登り)の話などがその最たるもので。

この作品の原型は、以前持ち込みをしていた当時から
かれこれもう十年単位で悩んでいた物語ですし。

これは企画当初から「(競技シーン等、盛り上げる場面を作り難い)山登りは少年漫画に向かない」と
ネームを見せた何人かの編集者諸氏から指摘され、
完全に大人向けの話を青年誌でやるか、少年誌でやるならテーマを思い切り絞るか、
いっそ時代物風味にするか…などなど。

編集者個人レベルでは、凄く皆さんテーマに興味を持ってくれ
(伺った先々の編集部に高確率で「クライミング自分もやってるよ!」という方々がいたのが、ちょっと驚きでした)
幾つも好意的なアドバイスを頂くことが出来はしたものの
そのどれも何か自分の中でしっくり来なくて。
かと言って、簡単に諦めることも難しいほど個人的に思い入れていたテーマでもあり
それは苦しみつつ迷走した記憶があります。

少年向けにかわいい女の子とのほのぼの恋愛を前面に出そうか、とか。
スパイ物で戦時中の話にしてみようか、とか。
現代風のイケメン男性をたくさん出して、女性誌に持って行けばどうか、とか。
…そもそも自分は何でこんなにしてまで、
山とかクライミングというテーマにこだわってるんだっけ?(真顔)とか。

そうこうして何年も突破口を探しあぐねているうちに、
世間では幾つかの素晴らしい山を舞台にした漫画作品が発表され、
「ああ…何かもう自分が描くことなんか別に無いんじゃないかな…」
なんてことまで思うようになっていました。ちょうど漫画家になるのを諦めよう、
と考え始めていた頃でもありました。

それから色々あってイラストのお仕事をするようになり、
漫画で自分作のストーリーを語る必要は、益々薄れて行くようでした。
「私が描かなくても誰も困らないし…」
「誰も待ってもいないものを、どうして大変な苦労をしてまで作らなければいけないのか?」という、
ある種の達観めいた心境(自己暗示ですね)に。



転機としては’13年夏。東北の、東日本大震災の被災地へ個人的に取材旅行したのですが、

その時、意外にも自分の中で「これは漫画で描かれるべき主題だろう」
という突き上げるような衝動がふいに起こったのです。
(今にして思えば、それは少しだけ、自分がずっと描きたい描きたいと
こだわり続けていた「山」に関係のある事柄でしたが。そこはまた別の機会に)
…あれ? 自分オリジナルの漫画は、もういいやとか思ってたんじゃなかったの?
と内心驚きました。



とはいえ、降って沸いたように突然「表現したい!」となった処で、
実績の一つも無い人間に、世の中はそんなに甘いものじゃありません。
その時に得たテーマで何か漫画を描きたいと思っても、
公には発表する場に恵まれませんでした。

何しろ漫画のほうでは、自分は未だどこの商業媒体からも
デビュー出来てはおらず全くの無名でしたから。
とても描いて言いたいことがあったので、悔しかったし、残念でした。

それで初めて、こういう状況を本気で変えなければと思い
自分なりに求めている「漫画を描ける環境」というのを真剣に探し始めて
運よくその頃、たまたま人づてに老舗の漫画投稿サイト「マンガ☆ゲット」の存在を知り
さらにそこの漫画家募集ページから「RouteM」に辿り着いたのです。

以前からイラストレーターとしては、掲載媒体を通じて
それなりに多くの人に自分の絵を見てもらうことが出来ている実感はありましたが
とはいえ挿絵はあくまでも記事の添え物であり、
自分個人のものでは無いだろうと考えていました。
そのことが、ずっと心の中で「どこか物足りない…」という思いにつながっていて。

私には、いつかは自分の名前で、自分の技術とか、熱量とか、ものの見方、思想、魂…
そういう、自分の「全部」を使って、作り出した作品でもって評価されたい。
世界中の人の心に届くメッセージを、漫画という表現で生み出せるような人間でありたい。
という願いがずっとずっと昔からあります。震災があってから余計にそれが強くなりました。

自分が現地で見たり、取材してきたことを例え今すぐには描いて伝えられなくても、
社会の中で、その片隅や、日の当たらない場所に追いやられているような存在の物語をこそ、
ていねいに掬い上げられるような作家に。そうして読む人々を勇気づけられるような、
泣いている人の近くへ寄り添って、できれば笑わせられるような物語の語り手でありたい。

いつかは、そんな漫画をたくさん描けるようになりたいと強く思います。
そうして自分も作家として、将来的に少しでも長く、作品を作って対価を得て、
生活していけるようになりたいと。


RouteMとGANMA!は、そのためのチャンスをまず最初に与えてくれたと思っています。
その与えられたチャンスを活かすも活かさないも、そこから先は自分次第というわけで。

複数の編集部から「うちの雑誌のカラーで、このテーマを扱うのは難しい」と返されてしまった自分の、
情熱ばかりが先走って、生煮えみたいな状態だった、クライミング漫画の初期ネーム。

それを唯一ここだけが、「スマホ漫画という特性上、うちは読者の年齢層も幅広いですし。
ジャンルも無制限(※公序良俗の範囲内で。:著者注)なので、そこまで描きたいテーマなら、
まずは一度、自分の思ったように描いてみたらどうですか?」と言ってくれたことが、
私にとってはもう全てを象徴しているような気さえしているのです。
(そこから編集さんと二人三脚でブラッシュアップして行くのが、これまた大変長い苦難の道のりでしたが!汗)

実を言うと、自分がRouteMに参加しようと思った、一番の直接的な理由というのは、
ちょうどその時期、個人的な必要から海外クリエイターの制作環境などを調べていて、
「漫画家のエージェント」業務に関心を持ったことから日本国内でそういう企業をネット経由で探していたところ、
偶然コミックスマートのサイトに行き着いたこと、そしてそこに掲げられていた理念や、
育成システムなどに共感したことがあります。



日本では、世間一般でクリエイターというと何となくカッコイイ印象ですが、
実際は、誰もが名前を知っているような有名作家らの華やかな世界というのは、ほんの一部分だと思います。
その中でも、オリジナルの漫画を一から描くというのは、
とてつもない時間と労力が必要であり、ましてデビュー前の新人ともなれば、
何とかして自身の生活基盤を維持しながら、孤独に自分の作品制作に向き合うことになる。

日々のお金の苦労も少なくない中で、自分の作品は今どのレベルにあるのか? 
自分が思いを込めた「作品」でありつつ、
同時に「商品」としても市場で流通するクオリティに達するために
足りないものは何で、それはどうすれば手に入るのか?(マネジメント面も含めて) 

自分独りではどうしても限界がある、こうした正確な現状認識のために、
冷静で客観的かつ眼の確かな「アドバイザー」が欲しい。
しかもそれは、音楽アーティストに とってのマネジメント事務所のように、
作り手である自分と、ある程度「利害を共有」してくれる存在であれば尚望ましい…。

当時、頼まれたイラストを納品する外注のイラストレーターから脱皮して、
「作家」としての漫画家を志していた自分にとっては
「漫画家を子供達の憧れの職業にしたい」と宣言するRouteMの理念は、
大いに賛同できるものだったのです。

そうした企業姿勢は、漫画家への支援を「投資」と捉え、
作品の掲載前から毎月「支援金」を支給してくれる点にも明確に表れていると思います。
営利企業として行う「投資」である以上、
売上の総数を大きくすることで双方の取り分が増えますから、
私の作った作品に然るべき価値があるのなら、当然、一所懸命に売り込んでくれることでしょう。

もちろん、きちんとした企業としてコンテンツの権利関係や契約
将来のロイヤリティ還元のお話なども、こちらが納得行くまでじっくり話し合ってくれましたし
事業に対する長期的な視点を感じ られました。

現在はこのGANMA!という媒体自体、まだまだ成長途上という感じです。

自分としてもそこで「いい漫画を創ること」こそが、
与えてもらったチャンス・物心両面で安定した制作環境への還元になると信じますので、
編集部はじめ、皆様の応援やご助力を頂ければ有り難いです。

そういう心構えで、これから精一杯こちらで頑張って行きたいと思いますので宜しくお願い致します。

コミックスマート側が契約作家に提供してくれる支援内容
(資金援助・意欲ある同業者の仲間・開放的な作業スペースなど)は、
かつて若い頃、孤独に漫画家を目指していて挫折してしまった自分が
「こんなのがあったら欲しいなぁ…」と思っていたものばかりです。
マジでどうして、あの頃こういうサービスがあってくれなかったのか!?
(爆。←「スマホがまだ無かったからですね~」:担当談)
なので、若い方々はこういうのも、遠慮なくドンドン活用されたらいいんじゃないでしょうか。

言ってみれば、RouteMは「自分はこういう物語を作って生きて行けるようになりたいのだけれど、
そのためには何が自分に足りないか? その『最後の詰めの一歩』が自分では掴めないし、わからない…」
そんな悩みを持っている作り手の人にこそ最適のシステムだと思います。

何せ辣腕編集長からは漫画の絵にもストーリーにも、
結構ビシビシと厳しくダメ出しを
(あくまでも理に適ったものですが!汗)イヤと言うほど貰えますから…(笑)

でもその痛みは、今の時点より少しでも「より良い作品」を生み出すための、
成長痛みたいなものなのだと思えば、
自分のようなヘタレにも意外なほどに耐えることは出来るものなので、
たぶん他の皆さんも怖がらなくて大丈夫です。


ここから一緒に、漫画の高みを目指して頑張りましょう。tytlepage_b


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